薬と食べ物の相互作用

薬と食べ物の相互作用

身体に良い食べ物が逆効果になる場合も

一般的に体に良いとされている食べ物でも、特定の薬との組み合わせによっては望んでいない結果になる場合があります。一緒に食べた食べ物の影響で薬の効き目が変わってしまったり副作用が起こったりすることを、「相互作用」と言います。高齢者は複数の薬を服用している場合が多いので、特に副作用には気を付けなければなりません。
以前は大丈夫でも、その時の体調などによって急に問題が起こる場合もありますので、注意しなければなりません。いくつかの例をご紹介しますので、参考にしてみてください。

相互作用の一例

ひとつめは、チーズです。チーズには、チラミンという成分が大量に含まれているそうです。交感神経を興奮させる作用があるため、うまく分解できないと頭痛がしたり急激に血圧が上昇したりします。この分解を阻害してしまうのが、パーキンソン病の治療に使われるMAO阻害薬や、イミプラミンなどの抗うつ薬、抗結核薬などです。
ふたつめは、グレープフルーツです。肝臓での薬の代謝をフラノクマリン類という成分が抑えてしまうため、血液中の薬の濃度が高まってしまい、効果が出すぎてめまいや血圧低下などの症状が出る可能性があります。特に気を付けるべき薬は、高血圧の治療に使われるカルシウム拮抗薬や、トリアゾラムなどの催眠鎮静薬、精神神経薬などです。
最後にご紹介するのは、納豆です。納豆菌はビタミンKの生合成を促進します。このビタミンKは血液を固める作用があります。つまり、心筋梗塞や脳梗塞の治療のために抗血栓薬を服用している場合には、薬の効果を弱めてしまうことになるため、注意が必要です。

利用者と家族への周知に工夫を

相互作用を防ぐために、上記のような例を利用者とその家族に周知しておくことも介護職員として大切なことです。介護施設では医師の指導を元に利用者が服用する薬剤情報はしっかりと管理されていますが、利用者が外出した際や家族から差し入れをもらった際には、正しい知識を持っていないと相互作用を引き起こす食べ物を摂取してしまう場合があります。定期的にニュースレターを出したり、施設内に掲示するなど、介護に携わる職員だけでなく利用者本人と家族も理解を深められるような工夫をすることが必要です。
介護職員が薬に関する正しい知識を持つことは、利用者の身体を守るだけでなく信頼を勝ち得ることにもなりますので、利用者それぞれが服薬している薬についてよく把握しておくようにしましょう。

更新日:2020/01/28

重大な事態につながる服薬ミスを防ぐために

どんなに注意をしていても、人間はミスを完全になくすことができません。しかし薬に関する事故は命に関わるものですから、ミスをゼロに近づける努力や工夫を怠ってはいけません。まずは基本に立ち返り、どんな対策ができるのかについて改めて考えてみましょう。