服薬介助で法律違反になる場合も

服薬介助で法律違反になる場合も

服薬介助にも条件がある

薬の管理は医療行為なので介護職員が行うことはできませんが、服薬介助は行っても良いとされています。しかし、全ての条件において認められているわけではありません。
そもそも服薬介助は、平成17年までは看護師等の医療従事者のみが行うこととされていました。しかし利用者に対してスムーズなケアを行うために、介護職員も行うことができる「医療行為ではないもの」を厚生労働省が明示し、血圧測定や軟膏の塗布などと共に、介護職員も一定の条件下で服薬介助ができるようになりました。
ここで示されている条件とは、「内服薬が一包化されていれば」服薬介助しても良い、というものです。逆に言えば、一包化されていない薬の服用を手伝うことは医療行為にあたってしまい、介護職員が行うことはできず、法律違反になってしまうこともあるのです。

一包化とは

高齢者は複数の薬を服用している場合が多いですが、その1回分全てがひとつの袋の中にまとめて入っている状態を一包化と言います。病院や薬局などで普通に薬を処方されると、市販の薬などでもよく見かける1個づつ包装されたPTPやヒートといった状態であることがほとんどです。
一包化してもらうためには、利用者やその家族から申告する必要がありますが、「PTPやヒートの状態では介護職員が服薬介助を行うことができない」という知識がない場合にわざわざ一包化してもらおうと思わないのは、不思議なことではないでしょう。親切な薬局では「一包化しましょうか?」と聞いてくれる場合がありますが、こちらも上記の知識が無いために断ってしまうこともあるようです。

もっと広く周知されるべき

介護職員が服薬介助をするにあたって、一包化されていることは必須です。PTPやヒートの状態で薬を持参し、そんなことは知らない、そちらでどうにかしてくれと言う利用者の家族もいますが、これを承諾してしまうと法律違反になることもあります。今回に限り、という条件付きで介護施設の看護師が一包化する場合もありますが、その後のことを考えると承諾しないほうが無難かもしれません。二度手間になってしまいますが、持参した薬を一度持ち帰ってもらい、家族の手で個包装するかもう一度薬局に行って一包化してもらうのが賢明です。
内部に医師がいたり提携の調剤薬局があるような介護施設の場合は、周知の事実として一包化をしてくれますが、その他の介護サービスでは利用者やその家族が正しい知識を持っているかどうかが重要です。PTPでもらったものを一包化するような手間は、利用者に関わる全ての人にとってプラスにはなりません。介護職員の服薬介助は一包化された薬でしか行えないことがもっと広く周知され、スムーズなサポートができることを期待しています。

更新日:2020/03/11

重大な事態につながる服薬ミスを防ぐために

どんなに注意をしていても、人間はミスを完全になくすことができません。しかし薬に関する事故は命に関わるものですから、ミスをゼロに近づける努力や工夫を怠ってはいけません。まずは基本に立ち返り、どんな対策ができるのかについて改めて考えてみましょう。