薬の知識が必要な理由

薬の知識が必要な理由

介護職員にも薬の知識が必要な理由とは

介護サービスの利用者はさまざまな病気や心身の不具合を抱えている場合が多く、それぞれの症状に合わせた薬を服用しています。特に多くみられるのは、血圧や糖尿病に関する病気に対応した薬や、認知症の進行を抑えたり精神的なバランスを整えるための薬です。
薬を利用することには当然メリットがありますが、同時に副作用と注意しなければならないこともあります。例えば高血圧の症状を抑えるための降圧剤はめまいを引き起こすことがあるので、移動時にバランスを崩す可能性があります。糖尿病の症状を抑える血糖降下薬は、場合によっては血糖値を下げすぎて意識障害を起こすことがあります。利用者が普段からどんな薬を服用していて、その薬の効果や副作用がどのようなものかということを把握できていれば、移動時にしっかり支えるようにしたり、意識状態をよく観察するなど、利用者それぞれに対して特に配慮しなければならないポイントが理解できるはずです。
プロの介護職員としてひとりひとりに合わせたケアを行っていくためには、その仕事の専門性を追求していく必要があります。その中のひとつとして、薬に関する知識も重要な要素のひとつなのです。

薬に関する事故への危機感を持って

医師から薬を処方される際には食前・食後・就寝前など、服用するタイミングについても指示があるはずです。これは、薬の効果を最大限に引き出すためであることはもちろん、副作用に配慮したものである場合もあります。それぞれの利用者が服用している薬の全てのタイミングや量を把握することは簡単ではありませんが、介護の場面においては必須の仕事です。時間帯に誤りがないか、しっかり確認する必要があります。
また、もし他の利用者の薬を誤って服用してしまった場合には、命に関わる事態にもなりかねませんので、毎日の流れ作業のようになってしまうことなく、丁寧に取り扱わなければなりません。薬袋に書かれている名前はその利用者のものか、その中に入っている薬の名前に間違いはないか、しっかり確認作業を行う必要があります。
また、飲み込むことができていない場合もあるため、口の中の確認を行うことも重要です。なかなかうまく服用できない場合には、オブラートに包んだり、服薬用ゼリーを利用するなどして、適切なサポートを行わなければなりません。
薬の知識を持っていれば、利用者の心身の状態をよく観察し異変があった場合には医師や看護師など医療従事者にすみやかに報告することも介護職員の重要な仕事のひとつなのです。

更新日:2020/01/20

重大な事態につながる服薬ミスを防ぐために

どんなに注意をしていても、人間はミスを完全になくすことができません。しかし薬に関する事故は命に関わるものですから、ミスをゼロに近づける努力や工夫を怠ってはいけません。まずは基本に立ち返り、どんな対策ができるのかについて改めて考えてみましょう。