「誤薬」を防ぐ
恐ろしい「誤薬」
介護の場面において服薬管理をしっかりと行っていたとしても、ミスが全く起こっていないわけでない、というのが現状です。利用者が服用すべき薬の種類や量を間違えてしまったり、他の利用者の薬を飲ませてしまったりといった「誤薬」が起こることもあります。
高齢者はたくさんの持病を抱えていることに加え、抵抗力や自己免疫力も低下しているために複数の薬を服用しており、誤薬の際の影響も若い人に比べてとても大きくなりますので、細心の注意が必要です。
それでもミスが起こってしまうことについてひどく糾弾する人もいますが、全くミスなく完璧な仕事ができる人はいないはずです。大切なのは、慢心せずに「自分にもミスがあるかもしれない」という意識を持ち、正確な仕事をするための工夫と努力をすることなのです。まずは誤薬が起きる原因から探っていきましょう。
多忙であることが原因のひとつ
例えば介護老人保健施設では100人ほど、特別養護老人ホームでは50人ほどの利用者を抱えています。人手不足が叫ばれている介護業界では、介護職員の人数に余裕がある施設が全てではないというのが現状で、そんな中ひとりあたり多くの利用者のケアにあたっているのです。
そんな状況に加え、経験が足りない介護職員の存在や交代制のシフト環境から、細かな連絡が行き届かない場合もあり、利用者それぞれに対して万全の準備を持ってケアにあたることが難しく、誤薬につながってしまう場合があります。正しく薬を渡したとしても、飲み込むまで見守ることができなければ、飲み忘れや他の利用者が誤って飲んでしまうリスクを回避することはできません。
薬の管理は看護師だけの仕事ではない
通常、薬の管理は看護師が行っていますが、場合によってはその後の薬配りを介護職員が任せられることもあります。ここで注意したいのは思い込みです。正しい薬の知識を持っているであろう看護師がセッティングした薬なのだから、間違っているはずがないと思うのは自然のことのように感じますが、ここにも危険が潜んでいます。
看護師であっても、全くミスをしないというわけではありません。薬を配る際に介護職員が正しい知識を持っていれば、その段階でミスに気が付き適切な対応が取れるはずです。介護の場面では、多くの職種との連携が必要です。これは自分の仕事ではない、と区切ってしまうのではなく、同じ利用者に関わる立場として知識を身に付け情報共有をしたり、サポートしあったりすることで、質の良いケアを目指すことができるはずです。
更新日:2020/03/04
重大な事態につながる服薬ミスを防ぐために
どんなに注意をしていても、人間はミスを完全になくすことができません。しかし薬に関する事故は命に関わるものですから、ミスをゼロに近づける努力や工夫を怠ってはいけません。まずは基本に立ち返り、どんな対策ができるのかについて改めて考えてみましょう。