高齢者は薬の量が多くなりがち?

高齢者は薬の量が多くなりがち?

薬の飲みすぎ「ポリファーマシー」とは

高齢者は複数の疾患を持っていたり合併症があるために、いくつかの病院や診療科に通い多くの薬を処方されていることがあります。これを「ポリファーマシー」と呼びますが、身体が弱くなっている高齢者にとってはこれが大きな負担となることがあります。いくら良い効果のある薬だと言っても、なにかしらの副作用があることは事実です。また、若い人であれば適正な量であっても、高齢者には良い効果を生まない場合があることも忘れてはいけません。
実際にポリファーマシーによる意識障害や低血糖などのトラブルは起きがちであり、この問題を改善していくための取り組みがスタートしています。2016年には、日本老年薬学会という団体も誕生し、医療関係者の間で注目されていることがわかります。

不要な薬を飲んでいる可能性もある

ポリファーマシーによるトラブルは、目安として6つ以上の薬を服薬している場合に増えることが確認されています。また、薬の掛け合わせによっては副作用の症状が重症化してしまうこともわかっています。しかし、高齢者は複数の病院や診療科に通っている場合が多く、それぞれから薬が処方されていると他の医師が処方した内容を知ることができないので、同じような効能の薬が重複してしまう場合があります。本来であればどちらかの薬で済むはずのものを、余計に服用してしまいトラブルの可能性を高めてしまうのです。
また、現状として改善しているが過去にはあった症状に対応した薬を、本人や家族からの訴えがないためにまだ必要だと判断して処方され続けている場合もあります。
このような不要な薬の服用を防ぐためには、なるべくひとつの薬局を利用するようにしたり、お薬手帳を持参して薬の優先順位を見直し、重複投与を避けることが必要です。

高齢者はなぜ薬の副作用が起きやすいのか

薬の副作用が起きるかどうかには、「タンパク質」と「水分」が大きく関わっています。
タンパク質は、薬を分解・無毒化して体外へ排出してくれます。若い人と比べて栄養状態が良くない高齢者は、このタンパク質が不足していることによって副作用が起きやすいと言えるのです。また、薬は脂肪に溶け込んでしまうと体外への排出がスムーズに行えなくなるため、体内の脂肪の割合を増加させてしまう水分不足も副作用を引き起こす原因となります。水分不足は血液中の薬の濃度を上げてしまうという側面もあります。
処方される薬の種類を減らすことができたとしても、代謝・排泄に大きな問題があると副作用が起きる可能性は高くなってしまいます。生活習慣を見直したり、脱水症状に気を付けるなどの対策を行う必要もあるのです。

更新日:2020/02/26

重大な事態につながる服薬ミスを防ぐために

どんなに注意をしていても、人間はミスを完全になくすことができません。しかし薬に関する事故は命に関わるものですから、ミスをゼロに近づける努力や工夫を怠ってはいけません。まずは基本に立ち返り、どんな対策ができるのかについて改めて考えてみましょう。