何にでも効く薬?

何にでも効く薬?

安心という効果がある薬「プラセプラス」

まず先に言っておきたいのは、ここで薬として紹介する「プラセプラス」には有効成分は入っていないということです。見た目は錠剤そのものですが、主成分は甘味料であり、薬ではなく食品なのです。しかしこれが、医療や介護の現場で重宝されているのです。
偽薬を服用することによって「薬を飲んだ安心感」などが得られ、その心理作用によって症状が改善することをプラシーボ効果と言います。この効果に着目して作られたのが「プラセプラス」です。医療の現場では治験などで偽薬が活用されていましたが、現在はまた違った活用方法があるようです。

過剰服薬や薬への依存に効果あり

例えば認知症の高齢者が、適切なタイミングで服用し終えている薬について「まだ飲んでいないからください」と訴える場合があります。このような時には、家族や介護職員が「もう飲みましたよ」といくら説明しても納得してもらえない場合がほとんどです。認知症の人と接する場合、最初から否定せず、まずは本人の気持ちを受け止める必要があります。かと言って、服用する必要のない薬を渡せば過剰服薬になってしまいます。そこで役に立つのが偽薬なのです。偽薬であれば服用しても身体に影響がなく、薬を飲んだという安心感だけをもたらすことができます。
また睡眠に関する薬などに依存している場合にも、偽薬によって少しずつ減薬できる場合があるようです。複数の薬を服用している高齢者は副作用が起こる可能性も高いため、なるべく余計な薬を服用しなくて済むように、偽薬を活用することができるのです。

偽薬のこれから

偽薬「プラセプラス」は、高齢者の過剰服薬や薬への依存に悩む家族から好意的にとらえられているようです。介護の現場においても、スムーズにケアを行うために活用するべきとの声があがっています。
しかし今までの介護の現場ではタブレット菓子などを偽薬として利用してきたところが多く、プラセプラスは30錠で税込999円と高額ではないものの、菓子と比べると価格面で二の足を踏む施設があることも想像できます。また倫理的な側面から、利用者を騙すことになるので適切なケアとは言えないのでは、という意見もあることは事実です。
とは言え、偽薬は医療の現場でも非常に関心が高まっています。高齢者が複数の薬を服用することによって生じる健康被害を解消するため、減薬をしようとしても不安感からうまく進まない場合などに偽薬が活用できるのではないか、と言われています。医師の経験に基づいた勧めや指導が得られれば、介護の現場で偽薬がさらに活用される日も遠くないのではないでしょうか。

更新日:2020/03/25

重大な事態につながる服薬ミスを防ぐために

どんなに注意をしていても、人間はミスを完全になくすことができません。しかし薬に関する事故は命に関わるものですから、ミスをゼロに近づける努力や工夫を怠ってはいけません。まずは基本に立ち返り、どんな対策ができるのかについて改めて考えてみましょう。