介助するときの注意点
服薬介助の基本
前提として、薬は水で服用してもらうようにします。ジュースやお茶などで飲むと効果が減少したり、場合によっては副作用が起こる可能性もありますので避けましょう。
錠剤やカプセルは、1つずつ舌の上に乗せるようにします。液体の場合は、容器を振って中身を均一にしてから少しずつ飲んでもらいます。舌の下に置くタイプの錠剤は、かみ砕いたり飲み込んだりしないように観察しながら、ゆっくりと唾液で溶かすように服用してもらいましょう。
粉や顆粒が多い場合や飲み込む力が弱い利用者には、オブラートに包んだり、服薬ゼリーを利用するなどの工夫も必要です。
正しく服用してもらうための工夫
食事の介助と同様に、服薬介助においても誤嚥に注意が必要です。薬や水を誤嚥してしまうと肺炎につながる可能性もあり、大変危険です。嚥下障害によって誤嚥してしまうことが多いので、普段の様子をしっかり観察しておきましょう。また、口の中が乾いている時には濡らしたガーゼで湿らせてから薬を服用したり、食道を通りやすくするために少し下を向いて飲み込めるようにサポートしましょう。
麻痺がある場合には、麻痺している側の口内に薬が残っていることがありますが、本人には気付きにくいので注意が必要です。麻痺が無い方向から薬を入れたり、飲み込んだあとに口内を確認するなどのサポートを行いましょう。
服薬拒否の場合には
複数の薬を服用することが辛く、服薬を拒否する場合があります。その際には、医師の判断で薬の種類を減らしてもらったり、錠剤からシロップに変更するなどの対策をとってもらえる場合があります。
また認知症になると、自分に薬が必要であると認識できなくなる場合があります。「病気でもないのだから薬は飲みません」と訴えている場合には、まずはその気持ちを受け止めて話をするようにします。そのうちに気持ちが落ち着き、素直に薬を服用してくれるでしょう。
それでもうまくいかない時には、別の職員にバトンタッチするのもひとつの方法です。
これらの方法を試しても服薬拒否が続くようであれば、どうしても必要な場合に限ってではありますが、食べ物に混ぜて服用してもらいます。自分の判断ではなく、必ず医師の判断を仰ぐ必要があります。また、家族とも情報を共有しなければなりません。
偽薬という可能性
毒を飲まされるなどと思い込み、さまざまな方法を試してもどうしても薬を服用してくれない場合や、既に服用しているのに「まだ飲んでいない」と訴えているような場合には、偽薬を利用する方法があります。
利用者が服用すべき薬に似た偽薬を用意し、服用拒否の場合にはスタッフが近くで飲んで見せたり、まだ飲んでいないと訴える場合にはその偽薬を飲んでもらったりという対策をとることができます。
更新日:2020/03/18
重大な事態につながる服薬ミスを防ぐために
どんなに注意をしていても、人間はミスを完全になくすことができません。しかし薬に関する事故は命に関わるものですから、ミスをゼロに近づける努力や工夫を怠ってはいけません。まずは基本に立ち返り、どんな対策ができるのかについて改めて考えてみましょう。